「就労移行支援」という存在を初めて知ったけど、良くわからないから簡単に教えて欲しい!
就労移行支援ってどんなサービス?なにができるの?
就労移行支援ってあまり馴染みがないし、どんなものか分かりにくいですよね。
この記事では就労移行支援を利用中の筆者が、就労移行支援についてわかりやすく解説しています。
就労移行支援について良く分からないまま利用するのは危険です。
この記事を読めば、「就労移行支援について最低限知っておくべきこと」が分かります。

利用者目線でわかりやすい説明を心がけています!利用後に後悔しないようにぜひ読み進めてくださいね。
就労移行支援とは?

就労移行支援とは「障害者総合支援法」によって定められた
の就職をサポートするための障害福祉サービスの一つです。
就労移行支援事業所と呼ばれる施設に通うことで、「働く準備(=職業準備性)」を整えるために必要なトレーニングや就活支援を受けることができます。

令和1年に新たに障害者雇用で採用された方は25839名です。それに対して就労移行支援から就職した方は21919名です(ほとんどが障害者雇用での就職)。つまり、障害者雇用の約84%が就労移行支援経由の就職であると考えられます。障害者雇用で就職したい方は就労移行支援を経由しないとほぼ採用されません。
障がい者の方向けのサービスですが、「精神疾患をお持ちの方」や「ひきこもりの方」でも利用することができます。

最近では在宅で訓練できる事業所も増えてきました!外出が困難な方も利用できます。
就労移行支援の利用対象者は?

就労移行支援は地方自治体からの指定を受けて運営をしている福祉サービスです。お住まいの市区町村の窓口で手続きをすることで利用ができます。
障害者手帳は必ずしも必要ではありません。就職先は一般雇用と障害者雇用のどちらを目指すこともできます。
再就職を目指す方だけではなく、休職中の方も復職のために利用できますよ。
就労移行支援で受けられるサービス内容は4つ!

就労移行支援での目標は「長く働く力をつける」ことです。
そのためには以下のスキルをつけることが大切です。
就労移行支援では一人ひとりに合った「個別支援計画」を作成し、以下の4つのサポートを受けることができます。
サポート①就職準備
まずは、働くための基礎的な能力を伸ばしていく訓練を行います。
長く安定して働くためには「職業準備性のピラミッド」がバランス良く積み上がっていることが必要です。

どんなに仕事の能力が高い人でも、ピラミッドの土台部分がしっかり備わっていないと長く働くことができず、会社からも評価されません。
就労移行支援に通所すれば、職業準備性の5つの能力をバランス良く伸ばすためにのプログラムを受けることができます。
通所を通してストレスが生じる場面を捉え、それをどう乗り越えていくかなどをスタッフと一緒に考え実践していきます。
臨床心理士や精神保健福祉士が在籍していることも多く、じっくりと悩みを相談できます。

働く上でストレスは避けられないものですよね。どのように対処すれば良いのかを学べるのはありがたいです!
サポート②職業体験・企業インターン
企業でのインターンを経験しながら自分に合う職業や働き方を見つけます。
採用側からしても障害者を雇うというのはリスクがあります。
「本当に仕事を続けられるかな?」
「どれくらいの仕事を任せたらいいんだろう?」
「どんな配慮をしたらいいの?」
と企業も不安を抱えています。
なので、インターンで業務に従事する姿を実際に見てもらうことで採用後のイメージがクリアになり採用されやすくなります。
逆に私たち雇用される側も以下のメリットがあります。
就労移行支援限定の説明会や求人もあるため、ハローワークでは見つけられない職場を見つけることができるかもしれません。

ある事業所に支援者さんに伺ったところ、就職者の半数がインターン先にそのまま就職が決まったそうです。
サポート③就職活動サポート
書類添削や面接同行などの就活サポートを受けることができます。
「就労移行支援宛てに直接来る求人」や「支援員の同行が必須の面接」もあります。
ハローワークやエージェント経由にはない求人を見つけることもできます。

客観的なアドバイスがもらえるので、ミスマッチやギャップを防ぐことができますよ。
サポート④職場定着支援
就職後も企業の間に入り、働きやすい環境を作るサポートをしてもらえます。
就職後に企業とトラブルになり、就労移行支援のスタッフが間に入るケースも少なくないようです。
ですが、そのほとんどが円満に解決し、配慮をもらいながら今でも元気に働けているそうです。

上司に対して直接言えないこともスタッフを通して伝えることができるのは安心ですね!
就労移行支援にはどんなスタッフがいるの?

就労移行支援は厚生労働省によって定員20名に対して4人以上の支援員の配置が義務付けられています。最大でも5人に対して1人の支援員が付くことになるので、手厚い訓練を受けることができます。
また、事業所の開設には「支援業務に5年から10年携わる実務経験と、サービス管理責任者研修を修了した人」が1人以上必要です。「経験がないスタッフしかいなかった…」ということは絶対にありませんので安心してください。
以下のような福祉・医療系の専門資格を持ったスタッフが多いです。通いたい事業所がある場合はどんな資格をもっているスタッフがいるか確認しておくといいかもしれませんね。
精神保健福祉士(国家資格) | 心身に障害のある人、低所得や家庭事情といった環境上の理由によって日常生活に支障が生じている人への支援を行う。 |
社会福祉士(国家資格) | 身体や精神上の問題などで日常生活を送るのに支障がある人たちの相談に乗ったり、助言、支援を行う。 |
作業療法士(国家資格) | 心身に障害がある人に対して、社会適応能力の回復を図るために、作業療法を行う。 |
臨床心理士(国家資格) | 臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする。 |
産業カウンセラー | 多彩な環境で働く人が抱える問題を自らの力で解決できるように支援する。 |
看護師(国家資格) | 健康チェック、メンタルチェックなど専門的なアドバイスをする。 |
保健師(国家資格) | 専門的な知識を用いて健康維持・増進と予防医療の推進に働きかけを行う。 |
障害者職業カウンセラー(国家資格) | 障害者の就業支援を行う。 |
就労移行支援の利用期間は?

魅力的なサポートを受けられる就労移行支援ですが、ずっと通い続けることはできません。
逆に通所して2〜3ヶ月で就職できることはまれです。
どれくらい利用でき、どれくらいで就職ができるかを確認しておきましょう。
就労移行支援は最大2年間利用できます
就労移行支援は一生涯で最大2年間まで利用できます。
ただし2年以内に就職が決まらなかった場合、市町村の許可があれば最大1年間延長することができます。
就労移行支援での期限内の就職が叶わなかった場合は「自力で就職活動をする」か「就労継続支援事業所に移る」という選択肢があります。
就職後の「定着支援」は最大3年半受けることができます。
3年経過後は「障害者職業・生活支援センター(ナカポツ)」へと支援が引き継がれます。
就職までの平均通所期間は15.9ヶ月
利用者の就職までの通所期間は十人十色です。症状の重さや就労経験の有無などで変わります。
早い方で数日〜数週間、遅い方で1年半〜2年以上と幅広いです。
大体の目安として「週5日の通所ができるようになってから半年後に就活の許可が降りる」事業所が多いようです。
厚生労働省によると就職者の平均通所期間は15.9ヶ月(約1年4ヶ月)です。
とはいえ、自分が安定して就職することが大切です。他人と比較せずに自分のペースで利用したら良いと思います。
就労移行支援の利用料金は?

就職まで1年以上かかることを考えると気になるのはお金のことですよね。
就労移行支援では通所中のアルバイトは基本的に禁止されています。(一定条件下で就労中の利用は許可されています。)
また、利用中の支援金などはありません。
利用中の生活は傷病手当や失業手当、障害者年金、生活保護などでまかなっていくことになります。
利用料は0円〜1割負担
利用料金はどこの事業所も一律で前年度の収入によって変わります。前年度の年収が300万円以下の方は無料で利用できます。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村税非課税世帯(※1) | 0円 |
一般1 | 市町村税課税世帯(※2) | 9300円(1割負担) |
一般2 | 上記以外 | 37200円(3割負担) |
(※1)収入が概ね300万円以下
(※2)収入が概ね600万円以下
工賃は基本的にはもらえない
就労移行支援は一般企業で働くことを目指して就労のためのサポートを受けることを目的としています。そのため賃金や工賃などは基本的に支払われません。
ただし事業所によっては「報酬を得ることの達成感を経験する」「金銭管理を学ぶ」ことを目的として賃金が支払われるケースもあります。
助成制度について
1年以上もお金が入らないとなると生活できなくなってしまう方もいると思います。
事業所や自治体によっては以下の助成制度を設けている場合があります。
失敗しない就労移行支援の選び方

失敗しない就労移行支援の選び方は7つです。
本利用を開始する前に、見学・体験利用をして本当に利用しても大丈夫かを確認しましょう。
この時に複数の事業所を体験利用し比較することが定石とされています。
利用までの手続きの流れ
福祉サービスなので利用開始までに1ヶ月ほどかかります。定員が埋まって待機となってしまう可能性もあるので、できるだけ早く動くようにしましょう。
- STEP1見学・体験
複数の事業所を見学・体験し自分に合った事業所を選びましょう。1事業所あたり3〜5日体験することができます。
わたしは1ヶ月半かけて6ヶ所の見学・体験に行きました。
- STEP2利用申込
通いたい事業所が決まったら市区町村の障害福祉課に電話し利用したい旨を伝えます。
後日ケースワーカーさんから面談・ヒアリングが行われます。 - STEP3就労移行支援で「サービス等利用計画」を作成
就労移行支援のスタッフと面談を行い、今の困り事をもとに「利用計画書」を作成します。
今の体調や困り事、今後どうなっていきたいか、希望職種などを聞かれます。回答を用意しておくとスムーズに終わりますよ。
- STEP4障害福祉サービス受給者証の交付
市区町村によりますが「サービス等利用計画書」を提出してから1〜2週間で自宅に届きます。
障害者福祉サービス受給者証 - STEP5利用契約の締結
サービス受給者証を受け取ったら、就労移行支援事業所と契約を行います。
- STEP6通所開始
契約後いよいよ通所が開始します。
市区町村が絡んでくるので少々複雑ですが、就労移行のスタッフさんから手続きの仕方などを都度教えてもらえたので迷うことはありませんでした。
とりあえず就労移行支援に相談してみるのをおすすめします。(市区町村窓口は基本的に混んでるし事務的です)
まずは無料体験へ行ってみよう!

ここに書いてあることだけで、とりあえず就労移行支援について最低限しっておくべきことは良くわかったと思います。(分からないことがありましたらコメント欄からご質問ください)
わたしは就労移行支援に通所して、自分の特性と向き合うことができて本当に良かったと思います。
勇気を出して無料面談に申し込みした当時の自分を褒めてあげたいです(笑)
なので今迷っている方がいたら、ぜひ1ヶ所だけでも就労移行支援に相談へ行ってみてほしいです。
おすすめの就労移行支援を以下の記事で徹底比較しました。筆者が実際に体験利用した上で就労移行支援ランキングにまとめましたので、迷った際は参考にしてみてください。
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