就労移行支援に通う意味はないって本当?
簡単な作業ばかりで仕事の役に立たない
ネットには「就労移行支援は意味ない」「通うのやめました」などネガティブなワードが並んでいて不安になりますよね。
安心してください!就労移行支援に通う意味はありますし、就労移行支援に通った方が自分にとってホワイトな職場に就職しやすいです。
本記事では以下について解説します。
この記事を読んで、就労移行支援を正しく利用すれば必ず就職できることを知って安心して通所していてください。
どこでも良いから就職したい人は就労移行に通う必要はない!
そもそもあなたはなぜ就労移行支援を利用しようと思いましたか?
障害者雇用で就職するため…?
どこでもいいから障害者雇用で就職したいなら就労移行支援を使わずとも就職できます
なぜなら、2021年現在の障害者雇用市場は「超売り手市場」だからです。
2021年3月1日から障害者の法定雇用率が0.1%引き上げになりました。
2020年6月時点での実雇用率は2.15%だったので、全体で約0.15%の雇用率不足であると推測されます。
0.15%と聞くとかなり少ない数に見えますが、すべての企業が法定雇用率を達成するためには4万人以上もの雇用をしなければいけません。
就労移行支援に通所し就労を目指している人数が全国で約3万3000人です。就労移行支援に通所中の方が全員就職したとしても法定雇用率に足りないという状態なのです。
半分の企業が法定雇用率を未達成で、行政からの指導が入っているところです。法定雇用率が未達成のまま改善が見られない場合は厚生労働省から「社名公表」がされます。企業側としては何がなんでも社名公表は避けたいので、障害者雇用を促進しようと必死というのが障害者雇用が売り手市場である理由です。
参考:厚生労働省「就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について」「障害者雇用率制度」経団連「障害者雇用対策の現状と今後の展望」
つまり数打てば当たる戦法で就活をすれば、どこかしら採用してくれる企業があらわれます。
「わたしの企業は障害者雇用してますよ!SDGsにちゃんと取り組んでいます!良い会社でしょ?」と言うために。
しかし、そこがどんな企業かは分かりません。ホワイトかもしれないしブラックかもしれない。低いお給料で一般社員と同じ業務を求められるかもしれないし、社内ニートのように仕事を十分に任せてもらえないかもしれない。
就労移行支援に通わずに博打のような就職をしたとしても仕事が長く続く可能性は低いです。
なぜなら私たち障害者は一般雇用で働く人よりもホワイトに感じる環境の幅が狭いからです。
このように一般雇用で働く人はなにも感じていないことでも、特性上難しく、長期就労ができなくなってしまうことがあります。
就労移行支援に通う目的は長く働ける職場に就職するため
長期就労をするためにどんな会社がいいのか?それは障害特性やその人の適性によって異なります。
その「自分が長く働ける環境」を知るために就労移行支援があるのです。
つまり就労移行支援に通う目的は「就職に成功するため」=「長く働ける職場に就職するため」です。
IT特化などの就労移行支援事業所も出てきたため、就労移行支援=スキルアップをする場所だと考えている方もいるかと思います。
本当にスキルアップだけが目的なら職業訓練校やスクールに通うべきです。
人生でたったの2年間しか利用できない貴重な期間。
スキルを習得することよりも、簡単な作業やグループワーク・余暇活動を通して、自分が働きやすい職場はどんな環境だろうかと考えることの方がよっぽど大切なことだと思います。
就労移行支援の通った方が就職に成功する理由は『自分が長く働ける環境を知れる』から
まずは自分がどんな環境でどのような働き方だったら、長期就労ができるかを知る必要があります。
知るといっても想像するだけでは意味がありません。
実際の経験をもとに本当に自分が働きやすい環境はどんなものかを具体的に知る必要があります。
前職の経験、就労移行支援の訓練・疑似就労・企業インターンなどを通して、仮説を立てて検証し、必要な配慮事項を把握することが大切です。
ステップ①自分の特性を知る
働く上でどんなことが苦手かを経験から理解するのは大切なことです。
障害特性は就活においてかなり深掘りして聞かれる事柄なので、しっかり整理しておきましょう。
特性A | 特性B | |
---|---|---|
状況 | 電車殺傷事件が起きた | 周りがグループワーク中で自分は自習している |
事象 | 事件をニュースで知った | グループワークの話が聞こえてくる |
状態 | 自分も殺されるのではと不安になった | 話を聞いてしまい自分の作業に集中できない |
影響 | 出勤時に駅で過呼吸になった | 作業効率が下がった |
結論 | 不安が強い時はテレワークをしたい | 耳栓をつけて作業したい |
ステップ②具体的な対処法を知る
ステップ①の「経験から理解した自分の特性」を踏まえて、自分なりにできる具体的な対処法を考えます。
自分の特性をすべて完璧に対処できるようになる必要はありません。自分のできる範囲でOKです。
就労移行支援の訓練では何回失敗しても大丈夫です。
色々なことを実験したり試したりして、自分でできること・できないことを明確にしましょう。
何回でも失敗できるのが就労移行支援のメリットです!
特性A | 特性B | |
---|---|---|
対処法① | 映像を見ると不安感が増すので ネットニュースだけ見るようにする | 耳栓をつけると作業効率が上がった |
対処法② | 音楽を聴きながらだと不安が和らぐ | いちど席を離れると集中力が戻ってきたかも |
ステップ③必要な配慮を知る
働くにあたって自分の障害となってしまう特性について以下の3つに分類します。
特性A | 特性B | |
---|---|---|
自分の対処法 | ・事件の映像を見ない ・音楽で不安を和らげる ・電車に乗らない | ・耳栓をつける ・いちど席を離れると集中力が戻る |
配慮 | ・事件に関して不安を煽るようなことは 言わないで欲しい ・家から近い事業所に配属して欲しい ・対処法を行なっても電車に乗れない時は テレワークをさせて欲しい | ・耳栓の使用を許可して欲しい ・集中力がないときは小休憩を挟ませて欲しい ・静かなデスク配置だと嬉しい |
できないこと | ・出張が多い仕事は難しい | ・接客業はできない |
このように自分が長く続けそうな環境を言語化していくことが大切です。
障害者雇用で求められていることはスキルではない
実は、一般雇用の就活と障害者雇用の就活では見られていることや採用基準が異なります。
障害者雇用での就職を目指すのであれば、それに合わせたアピールをしていかなければいつまで経っても採用されません。
前提として冒頭で紹介した通り、障害者雇用は「超売り手市場」です。
スキルは足切り、不採用はミスマッチである場合が多いです。
スキルは足切りってどういうこと?
会社が障害者雇用でまず求めるのは「安定して働けるか」ということです。
スキル面は会社側からサポートすることができるのでどうにでもなります。
しかし体調面・精神面は、会社としては「休んでください」としか言えないのです。
そのため必要最低限のスキルがあれば安定して働ける方を採用します。
不採用はミスマッチなら配慮事項を伝えるのは不利?
この配慮事項を伝えたら選考に不利に働いてしまうのでは…
不採用はミスマッチなのであればできるだけ配慮事項は減らした方が採用されやすいのではないかと考えるかもしれませんが、配慮事項を有利・不利で考えるのは危険です。
有利になるからといって、配慮事項を伝えずに入社するということは入社後その配慮を受けられない可能性があるということです。
つまり自分にとって働きやすい環境ではなく、短期離職につながりやすいです。
就労移行支援で自分でできる対処と会社に求めなければいけない配慮をはっきりさせて、自分に本当に必要な配慮事項をしっかり伝えるようにしましょう。
まとめ:就労移行支援に通って就職を成功させよう
就労移行支援に通う目的(=ゴール)は就職することではありません。長く働ける企業に就職することです。
就労移行支援の単純作業や簡単なプログラムも「1時間以上続けるとミスしやすいな」「座って作業するより立って作業する方が効率があがる」など自分の特性が見えてくるきっかけになるかもしれません。
ぜひ就労移行支援に通う目的を見直して、安定就労を目指しましょう。
どこの就労移行支援に通おうか迷っている方はおすすめの就労移行支援の記事を読むことをおすすめします。筆者が実際に体験利用した上で徹底比較してまとめましたので、迷った際は参考にしてみてください。
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